0772-45-1686
事例
司法書士AはXの相談を受けました。
Xは多重債務に陥っており、自己破産をすることを提案し、Xから手続きの依頼を受け受託しました。
その夜、司法書士Aは友人Yと居酒屋で飲食しました。
Yは「Xにお金を貸しているのだが、なかなか返してくれない。」と、司法書士Aに悩みを打ち明けました。
質問
さて、司法書士Aがとるべき行動は次のどれでしょうか?
①友人YにXが破産することを伝え、早く債権回収したほうが良いとアドバイスする。
②友人YにはXから相談を受けていることは言わず、何らのアドバイスもしない。
答え
正解は②です。
友人Yにアドバイスすることは、業務上「守秘義務違反」になりますし、「利益相反行為」にも該当します。
司法書士業務を続けるならば、友人を失っても仕方がない場面があるのです。
事例(遺産承継業務)
司法書士AはYの相談を受けました。
Yの相談内容は「父が死亡したので相続の手続きをしたいが、亡き父には長男Xがいる。Xとは遺産の分け方について合意ができている。預金や不動産の遺産承継手続きをして欲しい。」というものでした。
司法書士Aは長男Xの話も聞きながら手続きを始めました。
ところが、XとYの間ではお墓の管理や法事の主催はYがするという事で(祭祀承継の)合意ができていたのですが、寺の住職が「長兄であるXが祭祀承継するのが常識である。」と意見したことが原因で話がこじれてしまいました。
XとYの仲が険悪となり、
司法書士Aは、Yからは「Xは長男のくせに常識がない!この内容で遺産分割協議してよいものでしょうか?」と言われ、Xからは「私は遠方に住んでいるのだから、墓の管理はできません。当初の内容でないと遺産分割協議書にハンコは押しません。」と言われています。
質問
さて、司法書士Aは次のどの対応をすべきでしょうか?
①最初に相談を受けたYの立場になってXを説得する。
②XとY間の狭間に立って争いの仲裁を続ける。
③双方の中立的な立場で活動できなくなったので辞任し、この件に関しては今後一切関わってはいけない。
答え
正解は③です。
遺産承継業務に関しては、相続人全員から依頼を受けて手続きをすることがあります。
依頼の当初は相続人全員の仲がよくても、遺産分割協議の途中で争いが生じた場合は、
一度はすべての当事者から依頼を受けた立場ですから、もはや誰の立場に立っても誰かの敵になることになります。
つまり、この場合は関係者の誰の立場に立っても、他の誰かの立場からは「利益相反行為」に該当しますので禁止されます。
よって、関係者の誰からも相談を受けることができなくなり、辞任せざるを得ないのです。
みなさまはどう思いますか?
教えてください。
「事例1」
司法書士Aは仕事帰りに居酒屋へ立ち寄ったところ、知り合いの弁護士Bがいたので、隣に座って談笑した。
なお、弁護士Bは、現在係争中の相手方代理人である。
みなさまは次の①と②のどちらが正しいと思いますか?
①司法書士Aはプライベートなので問題ない。
②司法書士Aはプライベートであるとはいえ、依頼者がその様子を見てしまう可能性を考えて、弁護士Bとは談笑すべきではなかった。
「事例2」
司法書士Aは困難案件の対応のため帰宅時間が遅くなる日が続いていたところ、妻に激怒され「何で毎晩こんなに遅くなるの!」と詰問されたので、受託している事件の内容を話した。
問1
みなさまは次の①と②のどちらが正しいと思いますか?
①司法書士Aは信頼できる家族に話をしただけなので問題ない。
②司法書士Aは業務に関して守秘義務を負っているため、たとえ家族であっても話すべきではなかった。
問2
上記事例2でZ(司法書士Aの妻の弟の妻Yの母)から司法書士Aが「Yから聞いたんだけど、今大変な仕事を受けてるんやなぁ。実はその相手の人、私の知り合いやねん。」と言われた。
みなさまは次の①と②のどちらが正しいと思いますか?
①司法書士Aは妻やYやZに言っても無駄なので、問題が起こりませんようにと願いながら心に秘めて置く。
②司法書士Aは妻とYとZに司法書士倫理について説明し、他言しないように説得する。
問3
上記事例2で、極秘情報が漏れたことにより依頼者が損害を受け、司法書士Aは依頼者から損害賠償請求と守秘義務違反を理由とした懲戒請求を受けた。
みなさまは次の①と②のどちらが正しいと思いますか?
①司法書士Aには家庭の事情があったので情状酌量される。
②司法書士倫理を理解できない妻を持った司法書士Aが悪いので、業務停止もやむを得ない。
答えは全て②です。