亡くなった方名義の遺産がある場合、その遺産を承継する業務があります。
想定できるのは次の4つの場面です。
1.依頼者との委任契約に基づく遺産承継業務
2.遺言執行業務
3.不在者財産管理業務
4.相続財産管理業務
遺産承継業務
相続手続き
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事例
Yが亡くなり、妻Xと子Aが相続人です。
Aは身体障碍者で、Xが身の回りの世話をしています。
司法書士としてYの遺産を承継するため、Xから依頼を受けました。
遺産は自宅不動産と預貯金です。
当初の相談内容では、XとAで法定相続分である2分の1づつ相続することで合意できているとのことでした。
司法書士はAの意見も聞き調整を図りました。
ところが、最初は仲良く話し合いができていたのに、途中でAから異議が出て、相続人間での話し合いができなくなってしまいました。
受任した司法書士はどのような対応をすべきでしょうか?
解答
相談者にはなかなかご理解いただけませんが、専門家の職責として、受託できない案件となってしまいます。
相続人全員から依頼を受けて相続手続きを受託したケースです。
相続人全員が遺産承継内容について合意できている場合、依頼を受けた司法書士は、相続人全員からの委任を受けて、遺産承継業務を受任できます。
*この時点で相続人間に争いがある場合は、遺産分割調停等、別の手続きを選択します。
このように、当初相続人全員からの依頼を受けて遺産承継業務を受任したとしても、その後相続人間で争いが生じた場合は、
受任した司法書士は、当初の依頼者以外に、争いが生じたその他の相続人からの相談も受けしまったことになります。
つまり、どの相続人の立場に立っても、相手方の立場に立てば「利益相反」することになります。
結論としては、当初の相談者からの依頼も含め、本件に関しては、全ての依頼を断らなければなりません。
遺産承継業務
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